こんにちは! DITinoueです!
さて、本日十月六日は、フタバサウルスが発見された日です。
実に、五十六年前となる、1968年(昭和43年)のことでした。
フタバサウルスというより、「フタバスズキリュウ」というと耳馴染みがあるのではないかなと思います。
今回は、五十六年前に発見されたことを記念して(最近これ本当に多いな)フタバサウルスについてたっぷり解説していきます!
フタバサウルスってどんな生物?
フタバサウルスとはどんなものなのか。こんなものです。どん。
海で優雅に泳いでいたのが、このフタバサウルスなんですね。
では、フタバサウルスのディテールを記します。
勘付いた方はいらしゃるでしょうか。
そう、このフタバサウルスは恐竜ではない爬虫類なんです。
首長竜とは?
首長竜目、と記していますね。ちなみに、「鰭竜上目」というグループに属します。
恐竜は恐竜上目というグループで、この二つの上目は双弓亜綱というグループに属します。
つまり、上から行くと、
- 爬虫綱
- 双弓亜綱
- 鰭竜上目/恐竜上目
という感じになるんですね。
ややこしい。
ひとまず、この首長竜というのは、恐竜とは違う爬虫類のグループなんです。ちなみに、プテラノドンなどの翼竜類、モササウルス類なども恐竜ではありません。
骨盤の形などが違うんですね。
つまり、こういう風にワニの方に近い骨盤というわけです。
で、首長竜とはどんなグループなのか。
それは、海中で暮らし、身体の幅が大きく、尾は短く、四本の足がヒレに変わっている、という特徴を持つグループです。
首長竜は、二つのグループに分けられます。
プリオサウルス類と、プレシオサウルス類です。
左がプリオサウルス類のクロノサウルス、右がプレシオサウルス類のフタバサウルス。
違いは一目瞭然ですね。
プリオサウルス類は、ざっくり言うと首長竜のくせに首が長くなく、頭が大きい、というグループです。
それに対し、プレシオサウルス類は、首が細長く、尾は短く、頭が小さいというグループです。
身体の違いがあれば食性も違い、プレシオサウルス類は長い首を使って、器用に魚やイカを捕まえていたのに対し、プリオサウルス類はそれらに加えて、他の首長竜や、サメなどの大型魚も含まれます。
また、プリオサウルス類は、モササウルス類との競争に敗れ、白亜紀前期で姿を消したのに対し、プレシオサウルス類は、隕石が衝突して絶滅するまで生き残っていました。
高校生による発見物語
1968年の10月6日のことでした。
化石好きな、いわき市出身の高校生、鈴木直さんは、伯母の家の近くにある、大久川沿いの双葉層群という地層でサメの歯を発見しました。
そこから、発掘を続けていってみると、なんとまあ、大きな骨のようなものが出てきたのです。
これは、実は首長竜の脊椎の化石でした。
さらに発掘を続けると、頭骨から脊椎、ヒレの化石、肋骨までもが連なるように出土。
この時点で、鈴木さんは「とにかく大型の海生爬虫類であることには間違いないだろう」と考えていたそうです。
元々、地元の博物館の館長さんなどにも古生物学的指導を受けることもあった鈴木さんは、ここでとんでもない行動力を発揮します。
なんと、国立科学博物館の高名な古生物学者である小畠郁夫氏に手紙を出したのです。
しかも、またまたなんと、「一緒に研究しましょう」といった内容の返信が来てしまいました。
そこから、小畠さん、さらに同じ古生物学者の長谷川善和さんと共に、二年がかりで発掘を進め、出てきた化石にいわき市は湧きに湧き、「フタバスズキリュウ」という愛称がつけられました。
発掘されたのは、ほぼ完全な個体一頭分と、それ以外の部分的な個体六頭分。その中には、子供の化石もあったそうです。
国立科学博物館の予算の関係もあり、復元には四年を要したそうです。
それから、他種との比較などに長い時間をかけて研究が進められ、三十八年がたった時。
今では首長竜研究の第一人者の佐藤たまきさん、日本の恐竜研究のレジェンドともいえる真鍋真さん。そして、長谷川さんにより、フタバスズキリュウは新種として記載され、「フタバサウルス・スズキイ」という学名が付いたのです。
めでたしめでたし。
その後、鈴木さんは企業勤務などを経て、いわき市アンモナイトセンターの主任研究員となり、古生物研究に貢献されました。
現在も、元気に古生物学と向き合っておられます。
首長竜の名付け親
実を言うと、「首長竜」という日本語自体、実はフタバサウルスの発見に伴って作られた言葉なんです。
首長竜という存在が、ここにきて初めて日本中に広まったみたいなものなので、まだ無かったんですね。
首長竜の学名は「Plesiosauria」で、直訳すると「トカゲに似たもの」という意味なんですが、これじゃあもうさっぱり意味が分からないですよね。
それまでは、「長頸竜」とか「蛇頸竜」とか呼ばれていたのですが、どうにか分かりやすいものに統一しようと。
そこで、長谷川さんが考えたのが「首長竜」でした。
うん、分かりやすい。
その呼称で、現在は無事統一されています。
ただ、ディプロドクスとかブラキオサウルスとか、竜脚類の恐竜が時々「首長竜」と呼ばれることがありますが、それはちょっと「ん?」となるので、知っておいてくださいね。
弱肉強食な、フタバサウルスの死に様
鈴木さんがフタバサウルスを発見した時、どのように発見しましたっけ?
サメの歯を見つけて、そこを掘っていったらあった。
そうなんです。
フタバサウルスを発掘する際には、最初のもの以外にも大量のサメの歯が一緒に出土しました。
さらに一部は骨に刺さっていたんです。
これが何を意味するかというと、このフタバサウルスはサメに襲われて死んだ、あるいは、死んだ跡にサメが群がった、ということ。
弱肉強食の白亜紀の海が垣間見えますね。
赤ちゃんを産んだ?
実は、この首長竜なのですが、近年の研究では、恐竜や他の爬虫類のように卵を産んだのではなく、お腹の中で成長した赤ちゃんを直接産んでいたのではないかと言われています。
いわゆる、胎生というやつです。
実は、今の爬虫類にも一部にそういう種類がいて、北海道に生息しているカナヘビの一種類なんかは直接赤ちゃんを産みます。
首長竜の他にも、イクチオサウルスなどの魚類も胎生だったのではないかという説があって、現在注目されています。
恐竜時代の海も、恐竜と同じくらいの浪漫に満ち溢れていたんですね!
さいごに
というわけで、今回はフタバサウルスについてたっぷり解説してきました。
学生であろうが何であろうが、化石発見のチャンス、つまり「運」は平等にあります。
ぜひみなさんも、化石発掘体験などを通じて化石、すなわち太古のロマンと触れ合ってみてください。
それでは今日はこの辺で! 次回もよろしくお願いします! 最後まで読んでくださりありがとうございました!