こんにちは! DITinoueです!
さて、今日は何の日かといいますと、タイトルにもあるように、カムイサウルスの命名五周年でございます👏
とは言っても、このブログを見ていただいている皆さんの中に、僕が何を言いたいのかが理解できる方がどれほどいるのかは分かりません。
恐竜好きな方、恐竜好きが周りにいる方ならわかるかもしれませんが、そうでない方なら記憶に残っていないかもしれませんね。はっきり言って知ってても知ってなくても恥ずかしいことではありませんし。
というわけで、今回はですね、そんな「日本の竜の神」であるカムイサウルスについてたっぷり紹介していきます。
カムイサウルスってどんな恐竜?
カムイサウルス・ジャポニクスは、北海道むかわ町で2003年に発見された、ハドロサウルス科の植物食恐竜です。
名前の意味は、「カムイ」がアイヌ民族の神、「サウルス」はトカゲ、そしてジャポニクスは「日本」という意味なので、「日本の竜の神」となります。
骨格の特徴
(小難しい話が苦手な方は飛ばしていただいて結構です)
新種が新種として認められるための条件は、骨格に他の種には無い特徴があるかどうか、です。
まず、頭骨から見ていくと、他のハドロサウルス類の頭は前方に長く伸びるものが多いのに対し、カムイサウルスは比較的高いつくりでした。また、小さく平たいトサカがあった可能性もあります。
新種の決め手となったのは、胴体の化石、胴椎。そのうち、神経弓という背骨の上に伸びる部分です。普通、この種類の恐竜の神経弓は上に真っすぐ伸びるのに対し、カムイサウルスは前傾していたため、これが固有の特徴として認められることになりました。
前足は他の種類より細かったようです。
古生物学への影響
まず、ハドロサウルス類の進化について調べる手掛かりになるのが一つ。
もう一つ大きかったのが、この恐竜が元々海だった地層、海成層から発掘されたことです。
海成層は当然海の地層ですから、陸地で暮らす恐竜がそこから発見されることは無いと考えられていました。
が、実際にカムイサウルスが全身骨格というパーフェクトな状態で発見されたことで風向きが変わります。
海沿いに住んでいた恐竜が死んで流され、海に沈んで化石になることは十二分にあり得ることあり、さらに言えば海に沈んだ死体は全身が見つかりやすいということが判明。
元々海成層ばかりで、首長竜やモササウルス類などは見つかるもの、恐竜への期待は低かった北海道などの場所を勇気づける例となったのです。
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カムイサウルス発見物語
カムイサウルスの発見は、2003年の4月9日でした。この当時、むかわ町はまだなく、旧穂別町に住んでいた、アマチュア化石愛好家の堀田良幸さんによって化石が見つかります。
堀田さんは結構な化石マニアでして、発見された沢がアンモナイトなどがよく出る場所というのを知っており、そこを散歩していると、爬虫類の骨が露出していることに気付いたそうです。
ワニか何かだと思った堀田さんは化石を地元にある穂別博物館に預けました。
預かった館長の櫻井和彦さんは、地層を見て、海成層であることや、周囲にもまだ化石が埋もれていることを認め、いくらか化石を採集しました。
が。
それから化石はなんと七年間も博物館の収蔵庫に仕舞われてしまっていたのです。
なぜかというと、この辺りにある地層は海成層であるため、海生爬虫類の首長竜がよく出ていたんですね。そこで、どーせこれも首長竜だと思って、たくさん化石がしまってある収蔵庫に入れてあったんです。
そして2010年。首長竜の専門家、東京学芸大学の佐藤たまきさんが来館して化石をクリーニングしてから見たところ「あれ、これ恐竜じゃね?」と鶴の一声。
その後、日本を代表する古生物学者である小林快次教授の鑑定で恐竜と判明。
小林教授はこの恐竜を見て新種の可能性もあると考えて地元を説得、さらにまだ化石が埋まっていると思われ、大規模な発掘調査が行われました。
結果、素晴らしいことにほぼ全身の化石が揃ったのです。
クリーニングを行い、研究を進めた結果、新種と認められ、小林教授が命名したのが2019年。
気づけば16年もの年月が経っていましたが、晴れてカムイサウルスが誕生したのです。
社会的な影響
まだ学術的な名前の無かったカムイサウルスの全身骨格が発掘されたころから、この恐竜は「むかわ竜」という愛称が付きました。
旧穂別町と鵡川町が2006年3月に合併して生まれたむかわ町は、シシャモの産地として知られてはいたものの、全国的な知名度は低い町でした。
ところがどっこい、極めて完ぺきに近い大きな恐竜化石、むかわ竜が発見されたことで、当然行政は町おこしに利用し始めます。
元々、むかわ町からは「ホベツアラキリュウ」と言われる首長竜が発見されており、それがきっかけで博物館が建ったりしていたのですが、さらにカムイサウルスが出たことで、「恐竜の町」として全国にPRを……。
というさなかで、2018年、北海道胆振東部地震の被害をもろに受けてしまいました。
穂別博物館も資料が散乱したりして休館を強いられましたが、奇跡的にカムイサウルスの化石は無傷で済み、この恐竜はむかわ町復活のシンボルとなったのです。
地震のちょうど一年後、むかわ竜が新種であることが発表されました。
当時、国立科学博物館では恐竜博2019が開催されており(僕も行ってました)、まだ名前の無かったむかわ竜の全身骨格はデイノケイルスと並ぶ二大目玉展示だったため、カムイサウルスの知名度と同時にむかわ町の知名度も急上昇。
化石が返還されてからは博物館に展示され、テレビでもカムイサウルスがよく取り上げられたことから、むかわ町の観光の主力となり、今もむかわ町は「恐竜の町」として町を盛り上げています。
さいごに
というわけで今日は、命名五周年を記念したカムイサウルス特集でした。
いかがだったでしょうか。
北海道では二年前、発見されていた獣脚類テリジノサウルス類の化石もパラリテリジノサウルスとして新種になっており、まだまだ恐竜の町おこしが期待されるところです。
どんどん化石も見つかっているので、カムイサウルスをきっかけに叫ばれ始めた「恐竜王国・ニッポン」に期待しましょう。
それでは今日はこの辺で! 次回もよろしくお願いします! 最後まで読んでくださりありがとうございました!