こんにちは! DITinoueです!
さて、またまたニュースです。
再び日本から新種です。
もう最近毎月のように日本の恐竜が新種登録されている気がするのは気のせいでしょうか(笑)
しかも、再び兵庫からなんですよ。
こちらもまた面白い恐竜みたいで……。
ここで、たっぷり解説します!
篠山層群とそこから出た化石
篠山層群という言葉を、頻繁にこのブログに訪れていただいている読者の皆様なら聞き覚えがあるのではないでしょうか? それも割と最近に。
篠山層群というのは、兵庫県中部の丹波篠山市と丹波市にまたがって分布している地層のことです。
福井県の勝山市を代表とする北陸地方にある手取層群に匹敵する、日本の恐竜発掘の最前線ですね。
そんな篠山層群からは、タンバティタニスという竜脚類の大型植物食恐竜が発見されています。
さらに、つい一カ月前には、丹波篠山市のこの地層から発見されていた、鳥に最も近い恐竜ともいえる、獣脚類のトロオドン類の恐竜が新種として記載されています。
篠山層群についてのあらましも、上の記事を参照ください。
隠れた財宝を守る小人・ササヤマグノームス
今回発見された恐竜の名前。
ずばり。
「ササヤマグノームス・サエグサイ」
です!
どんな恐竜かというと……。
これは、近縁種の化石なんですが、こんな感じです。
(画像の権利なんかの関係で載せられませんでした)
トリケラトプスとかの御先祖様にあたる、原始的な角竜類の恐竜です。
篠山層群からは三例目、国内では十三例目の新種となります。
ササヤマグノームス・サエグサイという名前は、「ササヤマ」は、発見地である丹波篠山市、グノームスというのは、古代の錬金術師、パラケルスス(僕の小説とちょっと関わってくるところがあるので、シンパシーを感じます)が作ったもので、地中に住んでいて、金銀の在り処を教える醜い年寄りの小人だそう。
つまり、「篠山の隠れた財宝を守る小人」という意味が込められています。
サエグサイ、というのは、篠山層群の化石の研究に長い間携わっており、2022年に逝去した三枝春生氏にちなんでつけたもの、とのことです。
全長は約一メートルほど、体重は十キロほどの、かなり小型の植物食恐竜だったと考えられています。
ですが、発見されたのは成長途中の若い個体だったということで、成体はもう少し大きいのかもしれません。
原始的な仲間なので、トリケラトプスのような角は無く、フリルもまだ小さく、さらに2足歩行でした。
尾には羽毛が生えていた可能性もあります。
発見の経緯
最初の化石が発見されたのは、なんと十七年前でした。
2007年、タンバティタニスや、トカゲのパキゲニス・アダチイなどを発見した、地元の化石愛好家の足立冽さんが、いくらかの小さな化石が密集している場所を発見。
「最初はマッチの先ぐらいの歯の欠片を発見した」
ということなのだそうです。
それから、人と自然の博物館と予備調査を行い、その後も人と自然の博物館が調査を続けていったところ、ここまでに計17点が発見されています。
見つかった化石の内15点は頭骨で、残り2つは肩と脚。
研究を進めていったところ、頭骨の、まだ小さかった襟飾りや頬の出っ張りの形、肩の骨の特徴が他の種と違うことが分かってきて、今回、新属新種として記載されたのです。
この化石の学界への影響
これまで見つかった中で最古の角竜類というのは、ジュラ紀後期の中国から発見されているものです。
なので、角竜類は元々アジアで誕生した仲間が、アジアである程度の進化を遂げ、それが、当時陸続きだったベーリング海峡を渡って北アメリカに広がり、そこでさらに進化を遂げてトリケラトプスのような大型の角竜類になった、という説が定説でした。
しかし、ここまで確固たる事実はあまり発見されてきませんでした。
ササヤマグノームスを解析していったところ、北米に渡った原始的な角竜類の仲間と比較的近い特徴があり、ササヤマグノームスはアジアで発見された角竜類では最東端のものです。
つまり、このササヤマグノームスの化石は、アジアの原始的な角竜類がアメリカへ渡る、まさにその時の種類だった可能性があるのです。
角竜類がベーリング海峡を渡ったという説を補強する、大きな証拠になる、というわけですね。
さいごに
というわけで、今回は兵庫県丹波篠山市で見つかった、新種の原始的な角竜類、ササヤマグノームスについて詳しく解説してきました。
前回発見されたヒプノベナトル同様、人と自然の博物館に展示されるそうなので、興味がある方はぜひ、見に行ってみてください。
篠山層群にも、勝山層群同様まだまだたくさんの化石がすでに発掘され、さらにまだ眠っている化石も多いです。これからの発見にも引き続き期待ですね。
それでは今日はこの辺で! 次回もよろしくお願いします! 最後まで読んでくださりありがとうございました!