DIT恐竜研究室

小学生ブロガー、DIT井上の日常と恐竜についてのブログです

MENU

恐竜化石が外交に利用されています

どう思いますか?このタイトル。

はいどうも!DIT井上です!

ええっとね、取り合えず記事書いていきます。Yahoo!NEWSさかのぼってたら深刻なもの見つけましたので……。

はい、というわけでどうぞ!

 

 

■今日の記事は・・・■
ドイツとブラジルの外交戦に恐竜化石が利用されている事実をご報告します。
 

ウビラジャラ

ウビラジャラとは、ブラジルで見つかった恐竜です。コンプソグナトゥスの仲間の羽毛恐竜で、トゲのような羽毛が肩の方に立ってます。すごい姿のやつです。

Wikipediaより)

全長一メートルほどで、ほぼ全身に違う種類の羽毛が生えていました。

外皮系、いわゆる、人間の皮膚に当たる部分が残っている珍しい化石が発見されて、羽毛の種類とトゲのような羽毛が分かりました。

で、ウビラジャラ・ジュバトゥスという名前ですが、これはウビラジャラが「槍の主」、ジュバトゥスが「たてがみを持つ」という意味です。

ですが、実はこの名前には恐るべき事実がありました。

この名前は仮名なのです。

???

性格に言うと、本当はこの化石にこの名前が付き、論文として発表される予定でした。ですが、ある理由で論文発表されなくなったので、その名前が公開されることも無くなり、仮名になってしまったのです*1

はあ。

その理由をこれから解説します。

ブラジルとドイツ

ここで、外交の話が出てきます。主役となる国はブラジルとドイツです。

ブラジルで見つかった恐竜と言えば、イリテーターがあります。

イリテーターはスピノサウルスの仲間の恐竜です。

また、翼竜もたくさん発見されています。

そんなブラジルにはある大統領令による規制があります。それは・・・・・・。

化石の輸出を禁止するということ。

正確に言いますと、化石は「国の所有物」ということで国外に譲り渡すのを禁止するということ、国内外の博物館がブラジルで活動するときは鉱山当局の許可を得なければいけないという大統領令が1942年に定められているのです。

さらに、1990年に新たな規則が発表されました。

外国の学者がブラジルから持ち出した化石を新種の命名に使った時はブラジルは返還を求める。さらに、化石の輸出はブラジル科学当局の許可が必要で、外国の学者がブラジルの学者と共同研究しなければならない、というものです。

ウビラジャラ返還

で、ブラジルで見つかったウビラジャラの化石がドイツにあることがわかります。ドイツによると、2009年にドイツが化石を取得したということです。ですが、2006年にドイツが化石を輸入したということはドイツは否定しています。

そんな曖昧なことが、ドイツの法律を迷わせています。

ドイツの文化財保護法では化石を含む特定種類の遺物を輸出禁止国から輸入した場合、輸入日が2007年4月26日以降であれば、原産国に返還しなければならないことになっています。でも、ドイツが輸入したのが2006年であれば、ドイツが返還することに慎重になるわけです。法では2007年以降だから。

そこで、この騒ぎが起こったのです。

論文には、ブラジルの研究者の名前はありません。

 つまり、これはブラジルの規則では違反。速やかに化石返せと迫ってきます。

ありゃ。それは混乱するわ。

で、ドイツのバウアー科学相がウビラジャラ返そうかってことになりまして。

それで、論文発表直前だったウビラジャラがブラジルに返還されました。

取り合えず、解決してよかった。

で、これによっていいことがあります。論文撤回により、ウビラジャラの研究は発表されていないことになり、名前も正式には決まっていないということになります。

しかし、化石が原産国に戻ったことで論文が再び発表されるかもしれないのです!

ウビラジャラさんの名前が帰ってくるってこと。

でも、終わったわけじゃない

取り合えず、ウビラジャラはブラジルに帰ってきました。

なら、ブラジルはウビラジャラが帰ってこればそれでいいのかってったらそうでもなかったんです。

ドイツは他にもミリスキアという恐竜と翼竜二体の化石があります。これも、ブラジルで発掘されたものなのです。

 そっちもブラジルの科学者は返せ返せ言っております。

まだ、化石をめぐる外交が解決するにはしばらくかかりそうです。

ウビラジャラをめぐって国内で・・・

他の化石はまだ帰ってきてないものの、ものすごい化石であるウビラジャラは何はともあれブラジルに帰ってきました。

お帰り、ウビラ。

で、そこでブラジル国内で議論されているのが化石の定住地です。

今のところは火災で無くなって再建中のブラジル国立博物館に所蔵される予定です。

一方、プラシド・シダデ・ヌーベンス古生物学博物館に所蔵するべきだという声もあります。

ブラジルは大きな国ですからどこにしようか話し合ってしまうわけなんですね・・・。

問題の解決はまだまだ先なのか。生のウビラジャラを見れる日はいつ来るのでしょうか?

さいごに

今日は、ブラジルで発見されてドイツで論文発表されるところだった「ウビラジャラ」という恐竜をめぐるドイツとブラジルの外交についてお伝えしました。

化石に限らず、科学は世界のものなのでそんな国なんかどうでもいいんじゃないのかという考えが少し、でも、せっかくその国で見つかったのだからそこで研究した方がいいんじゃないかという考えも少し。

外交戦が起こるのも仕方ないのかもしれませんが、それでも化石が国交に利用されれるのは悲しいですね。

早く解決してほしいなぁ。

それでは今日はこのへんで!次回もよろしくお願いします!最後まで読んでくれてありがとうございました!

 

*1:正式に言うと、生物学の世界で仮名は「裸名」と言います